「狭い家ってかわいそう」
そんなふうに思っていた時期が、僕にもありました。
でも、実際に家族4人で6畳の部屋に暮らしてみて、気づいたんです。
「狭さ」って、必ずしもネガティブなものじゃないって。
思春期に差しかかった中学1年の息子と、まだまだ無邪気な小学5年生の娘。
その成長を間近で感じられるのも、
怒ったり笑ったりする声がすぐそばで響くのも、
このコンパクトな暮らしならでは。
もちろん、不便もあります。
でも、「今しかないこの時間」を、こんなにも濃く味わえる場所は、
たぶん他にないんじゃないかと思うんです。
そんな6畳暮らしで気づいた、「家族のかたち」。
今日はその話をしてみたいと思います。

笑う声がすぐ聞こえる距離
夜、寝る前。
子どもたちが布団の中でコソコソ話して、急にケラケラ笑い出す。
6畳のこの空間では、そんな小さな声も、全部ダイレクトに届きます。
最近、息子は少し思春期に入ってきて、
「別に…」なんて素っ気ない態度をとることも増えました。
でも、結局、娘とふざけて笑い合ったり、
僕たち親にちょっかいを出してきたり。
「おい、やめろよ〜!」なんて言いながらも、
その声が近くにあるだけで、心のどこかがほっとする。
娘はまだまだストレートに甘えてきます。
「パパ、今日ね…」と、すぐに話しかけてくる。
狭いからこそ、すぐ隣でその声を拾える。
気配を感じられる。
小さな安心感が、暮らしの中にあふれている。
広い家だったら、もしかしたら、
部屋ごとに閉じこもって、こんなふうに自然に声をかけ合うことも減っていたかもしれない。
「狭い」って、不便さだけじゃない。
そこには、確かなぬくもりがあった。
不自由だけど、不幸ではない
6畳に4人暮らし。
さすがに、一日中、足りないものや不自由に感じることは少なくありません。
寝るときは、みんなで布団を整理して、
乗り上げるように何枚も敷き詰めます。
昼間はその布団をまた畳んで、スペースを立て直す。
本当は、布団をしまう専用スペースがあったらもっと楽だよな…
なんて思う日もあります。
子どもたちも、たまには
「ボクの居場所ないよー!」
「ここは私のスペースだもん!」
と、小さなバトルを繰り広げることも。
そんなとき、妻が笑いながら
「じゃあ、今日は半分こね!」
とルールを作って、仲裁してくれます。
毎日、不自由なパズルみたいな生活をしながら、
みんなで工夫して、笑って、乗り越えていく。
広い家に憧れる気持ちが、まったくないわけじゃない。
でも、この狭い部屋で、すぐに顔を見て、
怒ったり笑ったり、何度も気持ちをやりとりして、
「家族」をやっている。
不自由だけど、不幸じゃない。
むしろ、一番余すことないこの時間を、一番幸せに。

子どもたちが教えてくれたこと
6畳暮らしの中で、僕たち夫婦が改めて気づかされたのは、
「子どもたちって、すごく柔軟だ」ということでした。
正直、大人のほうが不満を感じやすかったかもしれません。
スペースの取り合いも、ちょっとしたケンカも、
子どもたちはすぐに譲り合ったり、工夫して楽しむ方向に持っていく。
お互いを譲り合う力
ゲーム機の取り合いになりそうなときも、
「じゃあ、30分ずつね」と、自分たちでルールを決める。
場所の取り合いも、じゃんけんで決めたり、
「今日はお兄ちゃん、明日は私ね!」と順番を決めたり。
大人が間に入らなくても、自然に“解決しよう”とする姿に、
正直、ちょっと驚かされました。
今ある中で、工夫して楽しむこと
段ボール箱を積み上げて「秘密基地ごっこ」を始めたり、
布団とテーブルを組み合わせて「洞窟探検ごっこ」をしたり。
狭さを逆手に取って、想像力を膨らませて遊ぶ力は、
大人の僕たちよりずっとたくましい。
大人が思ってるより、子どもは柔軟だということ
「狭くてかわいそうかな」と心配していたのは、
実は僕たち親のほうだったのかもしれません。
子どもたちは、この6畳という舞台を、
ちゃんと「楽しい場所」に変えて、毎日を楽しんでいました。
環境がどうであれ、子どもたちは自分で「楽しむ力」を持っている。
それに気づけたことは、僕たちにとっても大きな学びになりました。

まとめ|狭さは、つながりの証
たまに、広いリビングがある家に憧れることもあります。
思春期まっただ中の息子が、
自分の部屋にこもりたがる日も、そのうち来るかもしれない。
でも、今は。
娘が「パパ、こっちきて!」と手を引っ張る声も、
息子がふてくされながらもこっそり話しかけてくる瞬間も、
すぐそばにある。
「広い家に引っ越したら、会話減っちゃうかもね」
そんな冗談を家族みんなで言い合えるくらい、
この6畳暮らしは、僕たち家族にとって悪くない時間です。
狭さは、不便さだけじゃない。
「つながり」を育てる力にもなる。
このぎゅっと詰まった毎日を、
大切にしていきたいと、心から思います。

おわりに|今、ここにある幸せ
6畳の暮らし。
最初は「不便そう」「かわいそう」と思っていた空間でした。
でも実際に家族で暮らしてみると、
そこには想像以上の温かさと、豊かな時間がありました。
笑い声も、ケンカも、寝息も。
ぜんぶが混ざり合って、”家族の音”になっていく。
広さやモノの多さでは測れない、
「つながりの濃さ」が、ここには確かにあります。
もちろん、不便もあります。
でも、その不便さを乗り越えるたびに、
家族はもっと強く、優しくなれるのかもしれません。
今、もしあなたが「もっと広い家がいいな」とか
「こんな暮らしでいいのかな」と思っているなら、
一度、周りをよく見渡してみてください。
そこにある小さな笑い声や、手を伸ばせばすぐに届く距離感。
それこそが、”今しかない幸せ”なのかもしれません。
僕たち家族も、6畳のこの場所から、
これからも一歩ずつ歩いていきます。
「いつかもっと広い家に」
そんな夢も持ちつつ、
でも、今あるこの暮らしに、ちゃんと感謝して。
これからも、家族の物語を、一緒に育てていきましょう。
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